「ハロー、ハロー、オラー!(スペイン語のハロー)」のさび部分が印象的な曲「Vertigo」で
U2が iPODのテレビコマーシャルに出演していた。もうCDを買わなくても済むようにしてくれたiPODがミュージシャンやレコード会社にとって好ましくない存在なのは確かだが、彼らがなぜCMに出ていたかがようやく分かった。
11月28日付のニューヨーク・タイムズ紙はロックバンドU2のビジネス面での成功について記事を掲載した。U2はアイルランド出身の世界的ロックバンド。ボーカルのボーノはアフリカ支援団体を設立するなど、慈善活動にも積極的に取り組んでいる他、03年9月にはホワイトハウスでブッシュ大統領と会談し、エイズ対策費の増額を要請するなど政治力も見せつけている。
結成25年を迎える彼らだが、記事によると今年と来年の2年間で計130のコンサートでなんと300ミリオン!(3億ドル=約361億円)の総売上を見込んでいるとのことだ。最新作の「How to Dismantle an Atomic Bomb」(原爆を廃絶するには)はこれまでに800万枚ほど売れている。ここまで政治色の強いアルバムがここまで売れたのはきっとボーノのカリスマ性なのだろう。「このアルバムはとても個人的なものだ」などとボーノは語っている。
記者のデービッド・カーは記事の中で「U2をロックバンドとしてでなく、多国籍メディア企業として見るべきだ」との見解を示している。バンドマネージャーのポール・マクギネスは「音楽がよくても、ビジネスがうまくいかなかったら哀れだよねっていつも言っていたんだ」と語り、早くからビジネスに重点を置いてきたようだ。
カーが指摘する、U2のマーケティング・テクニックは、
・メルマガを使ってバンドを「プロパガンダ」する
・2000年にオープンした公式サイトで、全曲、全歌詞、ツアー情報などを掲載 、毎日更新させ、会費40ドルの有料セクションを設置
・無料音楽ダウンロード対策に、アップル社と提携して、バンドの全曲や写真が入った iPOD のU2スペシャル・エディション(149ドル)を販売
U2はインターネットの可能性を早くから見出し、脅威となり得る企業やテクノロジーと結びついてビジネスを展開してきた。その彼らのサイトを見てびっくり。曲それぞれにオーディオとビデオ、歌詞のリンクが付いている充実ぶりだ。「多国籍企業」と呼ばれるだけあって、
日本語のサイトももちろんきちんと作られています。